2009年9月号

独慎抄

地球と身を分かち合った美しき月なかりせば
宇宙の見えざる秩序に生かされている私たち

 太古から人は月に特別な感情を抱いてきた。音楽や詩をはじめとする芸術・文化の中に、それを見ることができる。この月の存在が、「仰ぎ見るもの」から「足を踏み下ろす場所」へと変わった。アポロ11号の月面着陸は今から40年前のことである。以来、月が地球と身を分かち合ったものであることが明らかになってきた。しかも、地球にとって兄弟のようなこの月が今なくなってしまえば、地球は生命あふれる星として生きていけなくなるという。宇宙の見えざる秩序に私たちは生かされている。そのことを太古の人々は知っていてさまざまな思いを馳せたのだろうか。

 

【特集】
『月−連鎖する生命の営み』

【ビジュアル】BORN−月の導き
●写真 興 克樹

【対談】
宇宙誌と生命誌、その起源と進化の連鎖
−ガリレオとダーウィンへのオマージュ
●宇宙物理学者・早稲田大学客員顧問研究員 桜井邦朋
●生物学者・共和化工環境微生物学研究所所長 大島泰郎
宇宙での出来事が人間を生んだ!?


 今年、2009年はガリレオが望遠鏡で初めて月を見、人類が宇宙への扉を開いてから400年、またダーウィンが進化論について著した『種の起源』が出版されて150年という年にあたる。宇宙、また生物の始まりを辿っていくと、私たちの出発点がおぼろげながら姿を表す。
 地球や地球上の生命と宇宙とは決して無関係ではない。天体の動きと地球上での生命進化との関係を、共に元NASA研究員である宇宙物理学者・桜井邦朋氏と生物学者・大島泰郎氏が解き明かす。

 

余すことなく、欠けることなく
−月と地球の親密な関係
●宇宙物理学者・東京工業大学教授 井田 茂
生命進化の鍵を握った天体


 現在、地球と月の誕生を説明する有力な学説となっているのが、地球に原始惑星が衝突し、その破片から月ができたとする「ジャイアント・インパクト」説である。だが、一方は生命が溢れる惑星となり、一方は昼夜の気温差が250度近くもある石だらけの天体となった。しかし、生命の気配のない月は、実は地球の生命進化の鍵を握った天体だった。


かぐやの眼
−月の素顔を探る日本発「SELENEプロジェクト」
●「かぐやプロジェクト」サイエンスマネージャ 加藤 學
日本の探査技術で、月はここまで分かった!

 去る6月11日に探査の役目を終え、月面に落下した月周回衛星「かぐや」。40年ほど前に、世界中を熱狂させた「アポロ計画」以来の巨大プロジェクトであったこの「かぐやプロジェクト」のサイエンスマネージャ・加藤學氏に、「かぐや」が捉えた最新の月情報を聞いた。


太陽が昇る国、月が昇る国
●特定非営利活動法人ユーラシア21研究所理事長 吹浦忠正
なぜ日本の国旗は月ではなく太陽なのか

 地球上には今、約200の国々があり、そのすべてに国のシンボルとしての国旗が存在する。
 国旗は、その国の歴史や宗教、産業、自然や動植物などと深く結びついており、国旗を知ることで世界が分かるという側面がある。また、「日の丸」のように天体をデザイン化した国旗も少なくない。ここでは月や太陽の国旗を中心として、世界を覗いてみたい。


暦に刻まれた人間の知恵
−現代が失った月と太陽を読む暮らし
●暦の会会長・女子美術大学名誉教授 岡田芳朗
「暦」に見る暮らしの変遷と今

 私たちの生活にはカレンダーが欠かせない。しかし、カレンダー自体は戦後生まれの代物である。それ以前の日本人は「旧暦(太陰太陽暦)」、すなわち「月と太陽」を読みながら暮らしてきたのだ。暦の変遷は、一体日本人に何をもたらし、私たちは何を失ってしまったのだろうか。暦研究の第一人者である岡田芳朗氏が語る、暦の成り立ちと私たちの関係とは。


「不老不死」を月に願う
●国文学者・長崎大学教授 勝俣 隆
古典文学は科学に似ている!?

 かつて、月には「不老不死」の力が宿っているとされた時代があり、数々の神話や文学が生み出された。科学進歩の恩恵を受けている現代人には、それらの物語は単なるおとぎ話に映るかもしれない。しかしそこには、科学の試みと同じように、先人たちが世界や宇宙を理解しようとして描き出した世界が広がっているのだ。月の存在によって解き明かされる、豊かな想像力に彩られた古典の世界。


【坂村真民師生誕百年記念特別対談】
百年の大宿願「大宇宙大和楽」
−真言詩人・坂村真民がいまよみがえる!
●托鉢者 石川 洋
●坂村真民氏三女 西澤真美子
「しんみん詩」の境地 大宇宙大和楽の世界

念ずれば

花ひらく

苦しいとき 母がいつも口にしていた
このことばを わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ ひらいていった

「念ずれば花ひらく」という詩で知られる真言の詩人・坂村真民師が大宇宙に化(け)を遷(うつ)されて2年余。いまなお「しんみん詩」は、子どもから大人まで、多くの人々のこころに新鮮な感動と熱い共感を与え続けている。
 詩魂と触れ合った人々の人生を大きく変え続ける「しんみん詩」の意味と力の源泉、その魅力を、関わり合いの深い2人が解き明かす。

【好評連載】

 

「ノンフィクション・ヒューマンストーリー」
煉獄の彼方−私の歩いた道<3>

●タイワン建国運動家 郭 振純

木下久雄の「ゴルフ・実践人間学」<17>
地の章 総合力編
陳清波
−ゴルフに革命を起こした台湾の武士

●日本プロゴルフ協会(PGA)理事
 木下久雄
●コーディネーター
 ジャーナリスト・植田剛彦

いのちの泉<21>
おっ母さんの背中と子守唄

●宗教学者 山折哲雄

時空の旅人<19>
宇宙への夢は果てしなく

●生物学者 長沼 毅

シュトゥットガルトの空から<21>
虚構の世界

●作家 川口マーン惠美

二十世紀最後の武士(もののふ)外交官
加瀬俊一とその時代<20>

●外交評論家 加瀬英明

文明の地平
水は危機であるか(下)<31>

●評論家・麗澤大学教授 松本健一

黙さず語らん<56>
文字は手書文化

●作家 藤本義一

にっぽん人情小噺<45>
事故

●落語家 三遊亭鳳豊

ザ・ビジネス・ドメイン
社員を儲けさせるのは楽しいぞ!

●未来工業取締役相談役 山田昭男

続・心語余滴<16>

 

【グラビア】

 

COSMOGRAPHY

●画家 千住 博

日に晒され風に吹かれ<163>

●写真家 浅井愼平

photo Ryojinhisho<9>
TAWAMURE

●写真家 大橋 弘

表紙写真・NASA

 





当サイトに掲載されている文章、写真、イラスト等はMOKU出版株式会社に著作権があります。
無断で複製、譲渡、貸与、転載することを固く禁じます。

(C) 2006 MOKU Inc. All rights Reserved.