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2008年6月号
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独慎抄
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独慎抄 棄老社会をもたらす「医」の瓦解
医療崩壊の先にあるもの 表層的な医療改革論議に加担していては、ますます医療を崩壊させていくだけだ。本質的な「いかに生きて死ぬか」という死生観を欠いた国民側の問題を棚上げすることはできない。後期高齢者医療制度のような、必要のない「自立」を目的としたシステムを作り出させたのは、誰あろう私たちだ。認知的予期である医療を規範的予期である司法やメディアが糾弾しても、またそれを鵜呑みにしても、自らの足元を危うくするだけだ。自分たちのいのちを左右する医療であるにもかかわらず、長い間人任せにしてきたことによって壊れ、棄老社会を生み出そうとしている。 |
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【特集】
医のゆくえ− たそがれる医療王国 |
命綱としての医療 ●諏訪中央病院名誉院長 鎌田 實 ていねいに生きる人々の底力 人の命を救うための科学の進歩が、 医療からあたたかみを奪う。 時として、患者を置き去りにする。 そんな今の医療が、ぼくは悲しい。 優しくなくちゃ医療じゃないと思っている。 生と死に向きあいながら、 大切な命の守りかたをトコトン考えてみた。 (『それでも やっぱり がんばらない』集英社) 命の4部作『がんばらない』『あきらめない』『それでも やっぱり がんばらない』『なげださない』で知られる現代の赤ひげ・鎌田實氏に、これまでの人、地域、国家とのかかわりの中から見えてきた「医療の本質」を聞く。 死を賭したお産が生を輝かせる ●吉村医院院長 吉村 正 医療は人間の生きる意味や喜びを 破壊してはいないか いまや深刻な社会問題ともなっている産科医不足の問題。このままでは妊産婦は安全なお産ができないと、だれもがそう思い込んでいる。 しかし、本当にそうなのか。現在のような産科医療は必要不可欠なのか−。 いのちの力を信じた自然なお産を追求しつづける吉村正氏の元には、逆子などのリスクを背負ってもなお自然に産みたいという女性たちがやって来る。そうして産んだ女性たちの生は輝き、「本当の母」になっていく。吉村医院での2万例のお産は、産科学の常識や現代医療、そして現代の世相に真っ向から疑問を呈している。 |
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| 骨で「自然治癒力」を拓け! ●骨格療法士・快整体施療院代表 大野さかえ 自分の体を問い直すきっかけを探す 少々の体の不調であっても、抵抗なく医療機関にかかることが常識となっている現代の私たち。だが、症状を鎮めるための対症療法ではなく、その症状を引き起こす根本の原因を探るために自らの体をみつめ直すという視点が欠けてはいないだろうか。骨格療法士・大野さかえ氏は、脊椎動物である人間にとって要となる骨の歪みを治すことで、「病気にかからないような」体へと導いていく。その人が本来持っている自然治癒力を引き出す療法と骨の神秘について聞く。 老いと死、そして人間の尊厳 ●東京都老人医療センター名誉院長・高知大学名誉教授 小澤利男 超高齢社会を老年医学が拓く 人類がいまだかつて経験したことのない超高齢社会。日本は今、その入り口に立って、厳しい国家運営を余儀なくされている。中でも、医療費負担の問題、あるいは誰が高齢者の面倒を見るのかという問題は深刻な課題として横たわったままである。 東京大学の老年病学教室に始まり、老年医学ひとすじに、教育、研究、診療、管理の分野で敏腕を振るってきた小澤利男氏に、超高齢社会での日本の医療の有り様を聞く−。 【ビジュアル】 医の伝言 古今東西の医への眼差しを載せたビジュアルページ この子らのいのちを世の光に −重症心身障害児(者)に教えられた看護の原点 ●看護師 冠木義子 健常者的発想が揺らぐ世界 重度の肢体不自由と知的障害をもった重症心身障害児(重症心身障害者)にとって医療や看護はなくてはならない、まさに命綱であることは確かだが、治すことも社会復帰もできない大前提がある以上、自立のための医療や看護とはなり得ない。しかし、むしろそのために、そもそも医療や看護が向き合うべきものが明らかになってくる。生きることの意味を問えない人々であるがゆえに、生きることの意味を放っている。 医者、人をつくり街をつくる −夕張を根こそぎ再生するドクターの挑戦 ●医療法人財団「夕張希望の杜」理事長・夕張医療センター長 村上智彦 地域の成立と医療の成立 財政破綻した夕張を、住民意識を変えるところから再生しようとしているドクターがいる。目的は街づくり。日本一高齢者の多い街にあえて乗り込んできたのは、破綻した経験が住民にとって最良の「くすり」であると信じたから。健康な人を増やすのは病院ではない、住民の気付きであり公共の福祉・相互扶助の意識。いのちを救う医療が、社会の中ではどのようなときに成立し、どのようなときに成立しないのかを、地域包括ケアという観点から考える。 踊る欲望、沈む医療 ●ジャーナリスト・拓殖大学教授 野村 進 幻想と現実の間に横たわる深淵 現代社会に生きるわれわれは、老いや病を過剰に恐れてはいないだろうか。メディアと医療とわれわれとで作り上げてきた際限のない欲望は、無限の可能性という幻想を生み出し、それが医療を初めさまざまな場所で弊害となり始めている。 しかし老いや病への不安は、それらがやがて訪れるという現実を受け入れることでしか解決されない。幻想と現実との間に横たわる深淵を埋めることが、いまわれわれに求められている…。 |
| 【新連載】 | |
| プリンシプルからの視点 歴史認識とはどういうことか −終戦時の実情と集団自決 |
●日本学士院会員 ・山形県教育委員会委員長 石坂公成 |
| 続・心語余滴 「おのれこそ おのれのよるべ」 最後に信じて依って立つところは己しかない。そのために己を磨き続ける。そういう己と常にいることを信じる生き方。 |
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| 【好評連載】 | |
| 木下久雄の「ゴルフ・実践人間学」<2> 勝負師の真髄 |
●日本プロゴルフ協会(PGA)理事 木下 久雄 ●取材構成 ジャーナリスト・植田剛彦 |
| いのちの泉<6> 出迎え三歩 見送り七歩 |
●宗教学者 山折哲雄 |
| 時空の旅人<6> 吟遊科学者の船旅 |
●生物学者 長沼 毅 |
| シュトゥットガルトの空から<6> ラ・ボエーム |
●作家 川口マーン惠美 |
| 二十世紀最後の武士(もののふ)外交官<5> 加瀬俊一とその時代 |
●外交評論家 加瀬英明 |
| 現代養生訓<6> 夏の始まりは入梅から ◎烏梅は精神の安定と暑気緩和に最適 |
●自然美システム研究所代表 萩原俊雄 |
| 高橋史朗の第三の教育論<60> 【特別対談】 皮膚が地球を救う(上) −先天性皮膚水疱症の親子が見せた奇跡 |
●ゲスト 大阪大学大学院医学部准教授 玉井克人 ●明星大学教授 高橋史朗 |
| 文明の新地平<18> チベットとパトリオティズム |
●評論家・麗澤大学教授 松本健一 |
| 黙さず語らん<41> 自由と幸福をキャッチ |
●作家 藤本義一 |
| にっぽん人情小噺<30> 教育は情熱かな |
●落語家 三遊亭鳳豊 |
| 【グラビア】 | |
| COSMOGRAPHY | ●画家 千住 博 |
| 日に晒され風に吹かれ<148> | ●写真家 浅井愼平 |
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【歴史エッセイ】
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| 日本の名山 その歴史と文化<97> 大雪山 アイヌ伝説の山々 |
●作家・文芸評論家 高橋千劔破 |
| 表紙写真・丸谷美津子 |