

|
2007年9月号
|
|
独慎抄
|
|
岡倉天心の感性ーすでに存在する傑作の中で
人は芸術的感性を持っている 真の芸術は、私たちの肉を踊らせ、血を沸かす。心が心と語りあい、無言のものに耳を傾け、見えないものを凝視する。そして、忘れていたものを意味を持って蘇らせ、希望や勇気を立ち上がらせる。そうした役割が芸術には備わり、そこに響きあう感性を私たちは持っている。日本美術界の先覚者・岡倉天心は、世の文明化とは一線を画す芸術の世界の拡大を願っていた。 |
|
【特集】
感性との語らい |
特別鼎談 自己犠牲ー人間のいちばん純粋な愛の原点 ●東京都知事 石原慎太郎 ●アサヒビール名誉顧問 中條 高徳 ●自然美システム会長 萩原 俊雄 石原慎太郎が吐露した 戦争、アメリカ、中国、そしてわが祖国 石原慎太郎氏が原案、脚本、制作、総指揮を務めた映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」がこの5月に公開された。これは、特攻隊員の聖母と慕われた特攻基地・知覧にあった富屋旅館のトメさんの目を通して、国のため、家族のため、恋人のために勇壮散華した特攻隊員の祖国愛と苦悩を描いた作品である。陸士出身でその体験を武器にアサヒビール奇跡の復活の推進役となった中條高徳氏。広島の原爆で父親をはじめ多くの家族を亡くし、その悲劇を繰り返してはならないという信念から事業を起こし、社会貢献活動に邁進する萩原俊雄氏。 憂国の三烈士の胸に去来する祖国・日本への思いとは何か。日本全体が溶解し、人々さえも退嬰を繰り返す砂礫のような時代の中、60数年前我が日本民族が本当に失ったものを検証することによって、祖国・日本のありようを考える。 【特集】感性との語らい 色彩は命の源 ●ねむの木学園理事長 宮城まり子 鈍感にはなりたくないの 今を生き抜く知恵として『鈍感力』が話題を集めている。感じやすい人は、音、臭い、手触りなどが気になり、ストレスや疲れがたまりやすいもの。「鈍い人のほうが健康で長生きできる」というのはもっともらしい事実にみえる。ところが、「あら、気になるってとても大切なことよ。感じることを恐れては駄目。だって命というものは感じるものだから」と語る人がいる。40年間、障害のある子どもたちの芸術教育に全身全霊をささげてきた、「ねむの木学園」の宮城まり子さん。自分の触覚を鋭く保つことは「しんどい」けれども、やがては優しさや強さにつながる。豊かな命の世界に触れる喜びを感じてほしい。現在81歳の彼女の言葉は私たちの胸にしみ、自分の感性を信じて生き抜くことの意味を示唆している。 |
![]() |
| 音楽が成立するとき ●チェンバロ製作者 高橋辰郎 本物の音を追求するには、自らの気持ちを信じるしかない チェンバロ製作者である高橋辰郎さんは、バッハやフレスコバルディの音楽のために楽器をつくる。音符から見えた作曲家の思いを表現できるだけの楽器をつくらなければ意味がない。だから「高橋楽器」は妥協しない。つくる過程で拠り所となるのは、高橋さんの人生の中で自分の心に入り込んだ納得の音である。 作曲家、演奏者、高橋さんの心の音が重なり合ったとき、ようやくそこに音楽が流れ始める。
動物たちの幸せって何だろう ●多摩動物公園飼育係 福田愛子 「動物園人」の挑戦 動物園関係者のことを自分も含めて「動物園人」と呼ぶ福田さんは、ゾウやライオンを種別に展示している人間を、どこか冷静に見ているようだ。そもそも自然環境下で生きていた動物を連れてきて、動物園が始まった。その歴史上の「原罪」を意識しているせいかもしれない。飼育動物の「野生へ復帰」は、現実的には難しい。ほとんどが動物園生まれの動物たちだという事情を冷静に見極めた上で、動物の幸せを考えなければならない。想像以上にシビアな命の現場で働く、若き「動物園人」の挑戦に迫る。 母親がほがらかになる子育て−時代の変化にとまどう日独教育事情 ●作家 川口マーン惠美 「よい子」よりも「幸せな子」に 「うちには娘が三人いる。全員ドイツで生まれ、ドイツで育った。当然、ドイツの教育を享受している。娘たちの特徴を一言で表すなら、長女アキコ(1987年生まれ)は優等生、次女ミオ(1989年生まれ)は『ちょいワル』どころか『超ワル』、三女ユーカ(1990年生まれ)は変人である」 このほど上梓された『母親に向かない人の子育て術』は、こんな書き出しで始まる。その中核となる「母親が一番楽になる子育て」「手抜きのススメ」は、世にあふれる子育て本と違い、親が親である自分を取り戻す作用があるようだ。異文化の地ドイツから子育てと教育の突破口を探る。 「健康」を疑え! ●香川大学教授 上杉正幸 異常のないことを求め続けるエゴイズム 異常のない状態の健康は何にもまして重要なものだ、とする健康至上主義が疑いもなくまかり通っているが、その本質は現代日本の病理であることにどれだけの人が気付いているだろうか。健康は医療と結びつき、ひいては寿命とも近い関係であるために、健康を疑うことなく暮らすことが余儀なくされる。異常になりたくないというエゴイズムを肥大化させる健康ブーム。本当に大事なものは世間が言う健康ではなく、その人にとっての幸せではないか。 |
||||
| 【好評連載】 | |
| 高橋史朗の第三の教育論<51> <特別対談>少子化対策転換の秋 急速な少子化と平均寿命の伸びによって日本はこれから未曾有の人口構造の変化を経験することになる。最も懸念されるのは財政面であろうが、十年以上続けられた「子どもは預かりますから産んでください」式の対策は少子化の進展に歯止めをかけることができなかった。今後この問題を考える上での新たな視点は何か−。 内閣官房長官の諮問機関「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」のメンバーでもある両氏が少子化問題の本質に迫る。 |
●ゲスト 哲学者・長谷川三千子 |
| これが解決の決め手!長田百合子の相談室<8> 苦労して会社を軌道に乗せてきた矢先、期待の跡取り息子が無気力に |
●エデュケイションライター 長田百合子 |
| 文明の新地平<9> チャンドラ・ボースの「インド国民軍」 |
●評論家・麗澤大学教授 松本健一 |
| 体をひらく、心をひらく<9> 黙々として受け止めた父の愛 野口整体実践入門講座 自発的に生きる |
●野口整体 気・自然健康保持会 金井とも子・金井省蒼 |
| 魂の独立宣言<14> 選挙総括異論 |
●表現教育者 宮川俊彦 |
| 黙さず語らん<32> 一枚の硬貨 |
●作家 藤本義一 |
| 学び舎の窓から<16> 迎えてくれた「ピカチュー」の絵 |
●教育実践『響の会』会長 角田 明 |
| にっぽん人情小噺<21> 最後のお弁当 |
●落語家 三遊亭鳳豊 |
| 未知なる輝き<33> 黒子の義憤 |
●「みずのわ出版」代表 柳原一徳 |
| 【グラビア】 | |
| COSMOGRAPHY | ●画家 千住 博 |
| 日に晒され風に吹かれ<139> | ●写真家 浅井愼平 |
|
【歴史エッセイ】
|
|
| 日本の名山 その歴史と文化<88> 書写山 円教寺の歴史と伝説 |
●作家・文芸評論家 高橋千劔破 |
| 人生の指針を残した偉人たち<29> 思想家篇<3> 熊沢蕃山 |
●明治学院大学教授 武光 誠 |
| ●表紙写真 藤井浩 |