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2006年8月号
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独慎抄
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| 飢餓国家と飽食国家の恐るべき共通項 「政治の国民不在」と「国民の希薄な意思」が最も具体的に表れるのが「食」の問題である。北朝鮮の飢餓に対する食糧援助問題、日本の飽食に対する食糧安保、食の安全問題、これは同根の問題である。貧困や飢餓、豊かさや飽食と表面的な現象は対極であるが、いのちが壊れる、国が壊れるという問題の本質においては同じ地平にあるというべきである。 本来、あらゆる生命は捕食によってそのいのちを維持する。地球という閉ざされた系の中で生命もまた循環し、それぞれに生き残りを図ってきた。だが、人間の場合は、「食」を確保するために、人間駆動の「農」を生み出し、共同体を営んで生き残りを図ってきた。「食」を得るために農という技術とシステムを構築し、農に携わる労働のために生活共同体を形成し、その生活共同体は「食」を通して人間関係を育み、「食」を民族文化の域にまで高めてきた。それゆえに、「食」は人間にとって生活そのもの、生き方そのものといえる根源的営為である。個々人の日常の営み、暮らし方そのものが、「食」に対する態度そのものとして如実に表れる。 その「食」が現代に至って破壊されつつある。それは、人間関係が破壊され、生活が破壊され、社会共同体が破壊され、ついに国が根底から崩壊されようとしているという意味でもある。つまり、これまで私たちは、人間関係も、生活も、生き方も「モノやカネ」で賄えると錯覚し、その錯覚をそのまま実行してきたツケの清算をいま果たすべきことを迫られているのである。 |
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【特集】
食よ、蘇れ! |
【グラビア】野生への憧憬 食文化は何処へ 写真 イシイヨシハル 風土、いのち、そして愛ー食こそいのちを完成に導く文化の母胎 ●料理家・随想家 辰巳芳子 いのちに対する手応え感を取り戻す 四季折々に豊かな恵みをもたらしてくれる日本の風土。われわれの先祖は、風土の恵みを拠り所として、乾物、塩漬けなどの保存法を発見し、蒸す、和える、しめる、練る、漬ける、発酵させるといった料理法を生みだし、季節の変わり目には行事食をいただきながら自然の恵みや健康に感謝した。それは、ときには猛威を振るう自然を前に、限りある食材やいのちに対しての深い慎みであったに違いない。 料理家の辰巳芳子さんは、日本の食文化を掘り下げ、世界の食文化と比較して磨きをかけ、さらに、食をいのちとの関わりという観点から根源的に捉え直す。家庭の食が乱れ、再生を志す今こそ、深い食哲学をもって取り戻していきたいとの思いで鎌倉・浄妙寺の辰巳邸を訪ねた。 元気のもとは食にありー〈生きた教材・給食〉の限りない可能性 ●女子栄養大学短期大学教授 金田雅代 食育のヒントが満載 家庭の食卓が変化する中、学校給食も、センター方式の導入、米飯給食、バイキング給食の試みなど、時代とともに変貌を遂げている。そのたびに「食」や「給食」の本質に立ち返って、地元の大根を干して糠で漬ける、煮干しやカツオで出汁を取る、地元の器を給食に導入するなど、果敢に挑戦を続けてきた栄養士の金田雅代さん。文部科学省の調査官となってからはO−157の問題を豊富な現場経験で乗り越え、栄養教諭制度を創設した。「食育元年」をチャンスと捉え、学校給食から食卓再生を目指す金田さんに食育への思いを聞く。 |
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| 「いのち」を繋ぐ循環型農業ー食肉生産の現場から見えてきた「食」の危機と再生の道 ●山梨県・小林牧場社長 小林輝男 試練に挑む男の発想と生きざま 近年、農業の中でも肉牛生産の現場は、牛肉・オレンジ自由化交渉、BSE問題など、国際政治の混乱に巻き込まれ、食材安全性の問題で厳しい岐路に立たされてきた。そんな状況に負けじと果敢に挑戦を続けてきたのが肉牛肥育家・小林輝男さんである。 ワインの産地に大量に出るブドウの絞りかすを利用して価格競争に対抗するとともに、ハエの発生を抑える寄生蜂の導入や一頭ずつの健康管理と病歴等の公開など、安全性や安心感の追究に余念がない。さらにいま、「生ゴミ→たい肥化→農産物生産→食品産業」という資源循環型農業を目指す小林社長に農業の使命と再生のヒントをうかがった。 自由学園、85年の実践ー「生活即教育」に基づく食の学び 「食を学ぶ」とは「生活を学ぶ」こと 85年前の学園創設時から自由学園は食を通しての学びを行ってきた。いま言われるあいまいな「食育」とは異なり、生活すべてが教育であるという明確な考えに基づいた実践である。日々の学校生活の中に、食材に触れ、食事を作り、大人数で食卓を囲み、食べ残しを堆肥化する機会を設けることで、食が日常に根付いていく。その取り組みをレポートした。 家庭力が未来を開くー主婦の知恵を社会に伝承する新しい軌跡 ●全国友の会元中央委員 井本幸子 女から女への伝承の新しい姿 現代の奇跡ー。そう表現したくなる団体があった。主婦層を中心に2万2000人の会員数を誇る全国組織「友の会」である。衣・食・住に関する家事、家計、そして子育てと、家庭に関する仕事を互いに研究し、話し合いながら、わが家の知恵を蓄積していく。 家庭における長年の知恵の伝承が途切れてしまったといわれる現在の日本で、「人間教育の苗代」と家庭を位置づけ、その蓄積をもって社会に貢献する友の会の活動に、私たちが手放してきた家庭の本来相を探る。 食糧がカネで買えなくなる日 ●農政ジャーナリスト・中村靖彦 食の危機状況から見えてきた「この国の姿」 BSE(牛海綿状脳症)問題、無許可の香料や農薬を使用した食品の続出、輸入野菜に混入された農薬残留問題、そして相次ぐ食肉偽装ー 21世紀の幕開きは、食の安全性への不安の高まりとともにあったといっても過言ない。 40年以上ものあいだ、農家の現実や農業政策の変遷を見続け、BSE問題では食品安全委員会のメンバーとして安全性の監視にあたった農政ジャーナリスト・中村靖彦氏に、BSE問題の意味するもの、「農」の空洞化現象、食糧安保の問題まで、多岐にわたって聞く。 |
| 【連載】 | |
| 新コーナー「ザ・ビジネス・ドメイン」 翔べ、北九州! ー新規参入航空会社スターフライヤーの挑戦 大手2社が独走する航空業界にこの3月、新たに名乗りを上げたスターフライヤー。黒い機体は早朝・深夜のフライトで羽田−北九州間を結ぶ。スターフライヤーのビジネスドメインは、北九州市民と北部九州の企業の足となること、そして常に北部九州が首都圏の「隣」にある状況をつくっていくこと。かつてコンビニエンス・ストアが日本に誕生したとき、「誰が深夜に買い物に行くのか」という声も少なくなかったが、いまやなくてはならないものとなっている。北部九州が九州の新たなビジネス拠点として注目される中、スターフライヤーはどんな役割を果たすのかを創業社長・堀高明氏に聞く。 |
●株式会社スターフライヤー 代表取締役社長 堀 高明 |
| 魂の独立宣言<3> 黄金ベッド装置・ダイエット論 |
●表現教育者 宮川俊彦 |
| 学び舎の窓から<3> 変貌ーY子とB子の岐路 |
●教育実践『響の会』会長 角田 明 |
| お墓参りは楽しい<50> 先輩にも、同僚にも、後輩にも恵まれず、陰謀により左遷され九州・大宰府の地で生涯を終えた菅原道真。1100年前の悲話の主人公の思いを探る。 |
●作家・日本ペンクラブ常務理事 新井 満 |
| 黙さず語らん<19> アリガトウの深い心の部分 |
●作家 藤本義一 |
| 高橋史朗の第三の教育論<40> ひな祭りは男女差別なのか |
●明星大学教授・埼玉県教育委員会委員長職務代理者 高橋史朗 |
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【グラビア】
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| COSMOGRAPHY | ●画家 千住 博 |
| 日に晒され風に吹かれ<126> | ●写真家 浅井愼平 |
| 一眼の彼方<8> | ●フォト・ジャーナリスト 井上和博 |
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【歴史エッセイ】
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| 日本の名山 その歴史と文化<75> 恵那山ー木曾山中の神の山ー |
●作家・文芸評論家 高橋千劔破 |
| 人生の指針を残した偉人たち<16> 明智光秀 気前良くふるまって、良い人材を集めよ |
●明治学院大学教授 武光誠 |
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【好評連載】
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| 未知なる輝き<20> 私が“古典”になってやる |
●和印作家 瀧 玉童 |
| 長田百合子の体当たり奮戦記<39> 子どもが万引きしたら・・・ |
●エデュケイションライター 長田百合子 |
| にっぽん人情小噺<8> 「駕籠かき物語」 |
●落語家 三遊亭鳳豊 |
| ●表紙写真・井上和博 |