2005年10月号
独慎抄「小泉流改革」を圧倒的多数で承認した国民一人ひとりの責任の重さ
【特集】開いて生きる
自分という存在のありか
●評論家 芹沢俊介
●東京外国語大学教授・宗教学者 町田宗鳳

逆ピラミッドをいかにして構築するか
 キャリア、財産、知識、名声、権力といった「地上へのピラミッド」を築き上げることのみに価値を置く社会では、自分の存在が不安定になる。安定は、地中に掘り下げる逆ピラミッド、つまり目に見えない人間性を深めることから生まれる。そこに自分が「ある」ということの肯定、そこに誰かが「ある」ことの救い。そうした存在そのものへの感知を高めるのは、研ぎ澄まされた身体感覚。児運という存在の本当のありかを探るために、「関係性」というテーマを縦横無尽に語り合う。
「自分でいられる」ということ
●草木染織家 山岸幸一

本質の中に自分をさらす
 モノや情報を集めながら、人はそれらに使われている。モノや情報に振り回されずに生きるためには、本質を見ていけばいい。他人との比較ではなく、その本質の中に自分をさらすこと。そうして初めて、生きる意味までも実感する。草、木、水、生き物といった自然とのかかわりの中で染織を続けてきた作家ならではの生き方を聞く。


「修羅場」に生きる
●幇間 櫻川七好

人と人の「間」に生きた幇間
 幇間という職業は江戸時代に生まれた。宴席で客をもてなすことが仕事だ。「幇」の文字には「助ける」という意味がある。幇間はお座敷という空間で「客と酒」「客同士」「客と芸者」の間(ま)を助けているのだ。櫻川七好氏は四十一歳でその間に飛び込んだ。幇間という未知の仕事。不安もあった。だが「漠然とした自分への期待」が上回った。そして、いま櫻川氏は「天職を得た」と胸を張る。


等身大の自分を見つけよう
?医療改革を推進する変わり者ドクターの矜持?
●九州大学大学院教授 信友浩一

プロとしての内的基準をもっているか
 日本の医療を問い直す目的で九州大学に「医療システム学教室」が創設されたとき、リーダーとして白羽の矢が立ったのは、「変わり者」と言われてきた医師だった。彼が目指したものは「信頼に値する医療の確立」。「医師としてのスピリットが問われている」という彼の主張には、すべての日本人がといかえさなければならない視点がしっかりと横たわっていた。


感性で開く「ドクタースピリット」
●明治大学助教授・臨床心理士 諸富祥彦

「新日本的」な人間関係を築こう
 「日本人は疲れきっている」と諸富祥彦氏は話す。では、私たちはその状態から、どうすれば脱することができるのだろうか。諸富氏は「自分が好きなことをやること」「自分を見つめ直すこと」が必要だと説く。自分の価値観・居場所をはっきりと自分自身で納得させ、その価値観にそって相手と向き合っていく。そんな当たり前のことが、今の日本人はできない。


「はっきり言って国は当てにならない!」 
“台風”市長のまるごと構造改革
●栃木市長 日向野義幸

地方自治体が生き残っていくための道
 権限委譲の美名の元に地方にやってきたのは仕事だけ。さらに三位一体の改革で、交付税と補助金の削減。このままでは地域のアイデンティティさえ失いかねない。地方がやがて陥る窮状に対して、栃木市長が取ったのは「国や県を当てにしないでも経営が成り立つ主体的な都市経営」。コスト意識も業務フローもなくプライドだけがあった職員の意識改革から、空き店舗を利用した庁舎移転、“人を中心とした”福祉政策への転換、さらに市民も汗を流す「まちづくり」などを具体的に聞く。

お墓参りは楽しい<41>
礼文島の墓地
「あの人」が夢見ていた礼文島に立った。「代わりに行ってよ」と言い残して亡くなった「あの人」はカフカが好きだった。香深という街のある北の島で海鳴りを聴いていたとき、お墓の上に一羽の鴉(からす)が止まった。
●作家・日本ペンクラブ常務理事
 新井 満
「まほろば」の循環史観<15>
まほろばの国の「産霊の民」III
原祖先が聴いた海からの伝言、山からの伝言
●四天王寺国際仏教大学客員教授・
 弁護士 中島尚志
黙さず語らん<9>
優しさを考える
●作家 藤本義一
高橋史朗の第三の教育論<30>
学校教育に「和文化」の風を
●埼玉県教育委員会委員長職務代理者
 明星大学教授 高橋史朗
【グラビア】
日に晒され風に吹かれ<116> ●写真家 浅井愼平
風と光の中で<32>津軽岩木山 
●文 千歳栄
 写真 イシイヨシハル
そのまんまの世界 ●画家・書家 佐藤勝彦
【歴史エッセイ】
日本の名山 その歴史と文化<65>
穂高岳 安曇族と穂高の神
●作家・文芸評論家 高橋千劔破
人生の指針を残した偉人たち<6>
アンドリュー・カーネギー 仕事に精を出す者が成功者になる
●明治学院大学教授 武光誠
【好評連載】
未知なる輝き<11>二十歳の「チャップリン」 ●活動写真弁士 麻生子八咫
長田百合子の体当たり奮戦記<30>
父親の決断
●エデュケイションライター
 長田百合子
リーダーの要諦<41>
『貞観政要』を読む
●中国思想史家 疋田啓佑
●表紙・日向野義幸氏…撮影・井上和博




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