2005年6月号
独慎抄 「不確か」を巡る大惨事
 人間は間違いや失敗を犯す動物である。どんなに気をつけたところで、百パーセント間違いを起こさない、失敗を起こさないことはあり得ない。ならば、間違いや失敗を隠さずに素直に受け入れ、即今只今から直していくしかない。それが「不確かな人間」の取る作法であり、「不確かさ」を生きる人間の姿勢であるはずだ。そこにこそ「不確かな自分」を生きざるを得ない私たちの本来の面目が躍動するのではないか。
【特集】
「不確か」を巡る旅
日常の細部を生きているか
●作家・脚本家 山田太一
●フリーライター 渡辺一史
確かなことも生きる喜びも日常の細部にある

 能力主義、正しい論理、セレブな生活……。そうした価値観が世の中をますます不 確かなものにしていないか。本来、人間は凡庸で、非個性的で、些細なことに右往左 往しているもの。その本来の姿を前提として人間を見つめていかない限り、確かなこ とに気づくことはない。
富士山ーそこに見えざる命の声を観たー
●写真家 大山行男
あなたはどのような富士山を見ていますか?

 「富士山」と言えば、すぐにその姿を思い描ける日本の象徴的な山。しかし「富士」 という先入観をもった途端、真の富士を見る目も曇ってしまってはいないだろうか。 大山行男氏は富士のさまざまな表情を撮ってきた。そしてこれからも撮りたいものが 尽きることはないと言う。なぜなら富士は大山氏にとって自らの表情を映し出すもの でもあるのだから…。


私と子どもの間に「絵本」があった
●絵本作家 加古里子
大人が子どものためにできること…

 絵本作家として六十年。加古里子氏は500点以上もの作品を世に送り出してきた。30年も前に書かれた『からすのパンやさん』は293刷を数え、今でも書店に並べられている。これまで「子どもさんから教わったことは数えきれない」と言う加古氏。大人が子どもから教わろうという姿勢、そして大人として子どもたちにできることを私たちは真剣に考えなければいけないのではないだろうか。


私を導くたたら場の炎
●日刀保村下 木原 明

「神業」を後世に伝えたい

 木原氏は日本の伝統的な製鉄技術「たたら」で現場総指揮の役割を担う村下(むらげ)を務める。サラリーマンだった木原氏は手探り状態の中、たたら技術の習得を目指した。一度は「絶滅」した技術の復活は容易な道ではなかった。しかし、彼はたたら場の燃え盛る炎に導かれるままに、日本でたった二人しかいない村下にまでなった。


「不確かなまま」に円満する生き方
ー「半ばは自己の幸せを、半ばは他人の幸せを」ー
●少林寺拳法グループ総裁 宗 由貴

自己の幸せだけでは安定し得ない

 自分の技を高めるだけならば自己満足に過ぎない。修行で得られたものが社会活動を通して他人の役に立つとき、他人の喜びがあり、さらに大きくなって自分に返ってくる。スパイラルにつながった「自他共楽」こそ、不確かな人間をそのまま円満にする極意でもある。

お墓参りは楽しい<37>
阪神・淡路大震災の犠牲者
神戸市中央区の「人と防災未来センター・ひと未来館」の「詩集・ひと未来展」には、新井満翻訳詩「千の風になって」も展示されている。
●作家・日本ペンクラブ常務理事
 新井 満
「まほろば」の循環史観<12>
神々の棲む国の文明 IV
「悲」を定礎とした高天原と出雲の循環的な統合
●四天王寺国際仏教大学客員教授・
 弁護士 中島尚志
黙さず語らん<5>
子供の哲学
●作家 藤本義一
高橋史朗の第三の教育論<特別鼎談> 後編
「人間を育てる」という難題
●ジャーナリスト 櫻井よしこ
●埼玉県教育委員会委員・
 明星大学教授 高橋史朗
【グラビア】
日に晒され風に吹かれ<112> ●写真家 浅井愼平
風と光の中で<28>出羽三山
●文 千歳栄
 写真 イシイヨシハル
【歴史エッセイ】
日本の名山 その歴史と文化<61> 四阿山 ●作家・文芸評論家 高橋千劔破
人生の指針を残した偉人たち<実業家篇2>
ウォルト・ディズニー 常に向上を目指す努力に励め
●明治学院大学教授 武光誠
【好評連載】
未知なる輝き<8>YES’ WE CAN! ●羽黒高校野球部監督 横田謙人
そのまんまの世界 ●画家・書家 佐藤勝彦
長田百合子の体当たり奮戦記<26>
ジコチューの親に弄ばれる
●エデュケイションライター
 長田百合子
リーダーの要諦<37>
『貞観政要』を読む
●中国思想史家 疋田啓佑
●表紙・宗由貴氏……撮影・道岸勝一




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