月刊『MOKU』リニューアル
 本誌・月刊『MOKU』は、この5月で通巻・第158号、新生発刊して第20号を数えることになりました。
 数多の厳しい試練にさらされながら、こうして今日を迎えることができたのは、偏に、読者諸賢の熱誠あふれるご支援と、私たちの微志を善しとしてご道愛を専らにして下さった著者並びに制作スタッフの皆様のご共同の賜物であり、衷心より厚く御礼申し上げる次第でございます。
 新生『MOKU』発刊以来の試練はいまだ厳しいものでありますが、その試練の数々は、孟子のいう「人の、徳慧術知(とくけいじゅつち)ある者は、恒(つね)にちん疾に存す」であると心得、むしろこの試練を好機と受けとめ、社員一丸となってさらなる精進を重ねているところでございます。
 このたび、懸案でありました本誌の抜本的リニューアルを直ちに断行すべしとの声が内外から澎湃(ほうはい)として上がり、熟慮検討を重ねた結果、すぐさま実行させていただきました。ご諒解いただきますようお願い申し上げます。
 かねてより本誌に対しましては多くのご意見やご激励をお寄せいただいておりますが、そのご意見やご激励に少しでも多くお応えいたすべく全社的に真剣に討議いたし、関係各位の真摯なご提言を最大限生かすために、まず本誌のリニューアルに取り組むべしとの結論に達したものでございます。
 編集長を中心に編集部員および編集スタッフはもとより、全社員が参加して、文字どおり昼夜兼行で実現したものでございます。
 何卒、倍旧のご批判、ご意見、ご共同を賜りますよう、改めてお願い申し上げる次第でございます。
2005年5月号
独慎抄 「選べない」本質と「選ぶ」行為の間(はざま)にあるもの
 ただ選り好みをしないだけ。
「自由」には、本来備わった「自由の重荷」がある。その重荷から逃れるか、積極的に背負うか、それを選択したところで、重荷そのものは解消できるものではない。
 私たちは自分でさまざまなものを選べると思っているが、この世に生を享けたときから死ぬまで、何も選べてはいない。選ぶ自由を与えられていない。それでも「選べる」と思い込んでいるだけだ。その結果が身近なところにも現れている、という視点を持つこともできる。
 本質として、人は「選べない」。「道をきわめることは難しくはない。ただ選り好みをしないだけだ」という教えがある。
【特集】
「選ばない」という選択
「Senju」という日本の独創
─日本文化が育んだ、世界に開かれる「花実相兼」の芸術
今なぜ日本の独創が必要か。
●作家・日本芸術院院長 三浦朱門
●日本画家・京都造形芸術大学副学長 千住 博


 世界が注目する日本画家・千住博氏。昨年、羽田空港に現れた銀河や滝も氏の作品。
「芸術は、時間と空間を超えて人間という存在を貫くコミュニケーションとイマジネーションを教えてくれる」と千住氏は言う。それは、本来、日本人が風土の中で培っていた大自然との関わりそのもの。日本人の無意識が芸術の中にあった。それを体現した「Senju」だからこそ世界に認められた。
さあ、「日本へ戻ろう」。
みほとけの慈悲に、筆で応える
この仕事が私を生かす
●佛像彩色師 長谷川智彩

 佛像彩色師とはその名のとおり、佛像や佛具に色や金箔、プラチナを施していく職人である。「天才佛師」松本明慶さんが手がける佛像の彩色を一手に引き受けているのが長谷川智彩さん。女性職人集団である「智彩堂」を率いておよそ十年、京都工房を訪ねると、ストイックを絵に描いたような職の姿があった。


マタギとして生きている
山の神様の「授かり物」で生きるマタギ
●マタギ 松橋吉太郎

 マタギとは、東北の山奥で独特の方法を用い狩を行う人々のことを指す。彼らは「山の神様」を篤く信仰し、山で取れたものを「授かりもの」と言って山の神様に感謝する。それは、厳しい土地でも生きていけること、生かされることに対しての感謝でもあった。「マタギ発祥の地」と呼ばれる秋田県・阿仁地方でマタギを束ねる存在・シカリ(親方)を務める松橋氏の心の中には、山から授かったものが、ぎっしりと詰まっていた。


今の自分が好きですよ
自己和解によって自分を好きになる
●アテネ・パラリンピック円盤投げ銀メダリスト 大井利江

 遠洋漁業で事故に遭い、首から下が麻痺。「なぜ自分だけがこんなめに…」と恨んだ。しかし、そう思っている自分を恥ずかしく思うようになったのは、励ましてくれた障害者の友達。閉じこもりがちだった生活から積極的に外と関わる生き方へ。リハビリで始めた水泳だったが、大会で記録をラッシュ。陸上でも円盤投げ、やり投げで金メダル獲得。アテネでは優勝も期待されたが、惜しくも銀メダル。周りの選手はみんな息子の世代。しかし、北京大会では雪辱を晴らしたい。障害者になってコミュニケーションを大事にするようになった。事故に遭う前の自分よりも今の自分が好きだと言う。


医療と仏教
─人間として、人間の世話をする
関係性の原点
●WHО西太平洋地域事務所医務官 スマナ・バルア
●長野県南相木村診療所長 色平哲郎


 医療も仏教も、本来は生きている人のためにあり、それは、「人間として、人間のお世話をする」という関係性のうえに成り立つもの。ぶつかりや苦労という、人間が選択できないものの中で出合う「自分自身」も、この関係性によって生かされる。「私はだれなのか/私はどこから来たのか/私はどのようにしてここへ来たのか/私はここからどこへ行くのか/私はどのようにしてそこへ行くのか/私はそこで何をするのか」

お墓参りは楽しい<36> 三波春夫 ●作家・日本ペンクラブ常務理事
 新井 満
「まほろば」の循環史観<11>
神々の棲む国の文明 III
「生き残り」を懸けた原祖先たちの躍動
●四天王寺国際仏教大学客員教授・
 弁護士 中島尚志
黙さず語らん<4>
理性七段階
●作家 藤本義一
高橋史朗の第三の教育論<特別鼎談> 前編
教育の正念場 大人が変わらなければ、子どもの未来はない
●ジャーナリスト 櫻井よしこ
●埼玉県教育委員会委員・
 明星大学 教授 高橋史朗
【グラビア】
日に晒され風に吹かれ<111> ●写真家 浅井愼平
風と光の中で<27>山形
●文 千歳栄
 写真 イシイヨシハル
【歴史エッセイ】
日本の名山 その歴史と文化<60> 常念岳 ●作家・文芸評論家 高橋千劔破
【新連載】
そのまんまの世界 ●画家・書家 佐藤勝彦
人生の指針を残した偉人たち<実業篇1>
トーマス・エジソン 人生は仕事を楽しむことから始まる
●明治学院大学教授 武光誠
【好評連載】
未知なる輝き<6>
「幻獣」が僕を世に問う
●造形作家 江本 創
長田百合子の体当たり奮戦記<25>
子どもの巣立ちと母の信念
●エデュケイションライター
 長田百合子
リーダーの要諦<36>
『貞観政要』を読む
●中国思想史家 疋田啓佑
●表紙・千住 博氏……撮影・道岸勝一




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